
今回の選手の投球動作で、まず優先して修正したのは大きく2つです。
① 軸脚の膝を中心に飛ばないこと
② 進みながら身体を傾けないこと
選手自身は「股関節に溜めて、そこから蹴って勢いをつける」という意識を持っていました。
しかし実際の動作を見ると、その意識によって軸脚の膝を強く伸ばし、前へ飛ぶような重心移動になっていました。
① 軸脚の膝を中心に飛ばない
投球では軸脚を使って身体を投球方向へ進めていきます。
今回の選手も前へ進もうとしていましたが、そのときに膝を伸ばす動きが強くなっていたことが一つの問題でした。
膝を強く伸ばして進もうとすると、身体は前へ進むだけでなく、ジャンプするような動きが入りやすくなります。
そのため今回は、
「膝で蹴って飛ぶ」
のではなく、
「軸脚で身体を投球方向へ運ぶ」
という動きへ修正しました。
ポイントは、膝を使わないことではありません。
膝は曲がっても伸びても構いませんが、膝を中心にして身体を飛ばさないことが重要です。
今回は膝を過剰に意識せず、足首や股関節の動きを使いながら、鳩尾付近を投球方向へ進めていく練習を行いました。
② 進みながら身体を傾けない
もう一つ修正したのが、身体の傾きを作るタイミングです。
投球では脚を上げたあと、そのまま真っすぐ立ち続けるわけではなく、投球方向へ身体を移動させるための傾きが生まれます。
今回の選手は、この傾きを前へ進みながら作っていました。
すると移動している途中で身体の位置関係が変わり、身体全体が投球方向へ流れやすくなります。
そこで今回は、
脚を上げる
↓
必要な傾きを作る
↓
その位置関係を保つ
↓
前へ進む
という順番に変更しました。
つまり、
「進みながら傾く」のではなく、
「傾きを作ってから進む」
という考え方です。
指導では、脚を上げた段階で必要な身体の位置関係を作り、その形を一つの塊として保ちながら前へ進む練習を行いました。
「溜めて蹴る」が悪いわけではない
今回注意したいのは、
「溜める」「蹴る」という言葉そのものが悪いわけではない
ということです。
大切なのは、その意識によって実際にどのような動作が起きているかです。
今回の選手の場合は、
股関節に溜める
↓
強く蹴る
↓
膝を伸ばして飛ぶ
↓
移動中に身体の位置関係が変わる
という動きにつながっていました。
そのため、まずは「飛んで勢いを作る」動きを減らすことを優先しました。実際の指導でも、多少歩幅が狭くなったとしても、まず飛ぶ動作の修正を優先しています。
まとめ
今回の投球動作改善で、最初に取り組んだのはこの2点です。
軸脚は、膝を中心に飛ばない
そして、
進みながら傾くのではなく、傾きを作ってから進む
投球フォームでは「もっと勢いをつける」「軸脚に溜める」「強く蹴る」といった言葉がよく使われます。
しかし、その意識が実際の身体でどのような動きになっているのかまで確認することが大切です。
フォーム上に現れている動きだけではなく、選手が何を意識してその動作になっているのかまで確認しながら、必要な動きを一つずつ作り直していきます。