「開くから抜ける」は本当なのか?(実際の指導例)

今回ご紹介するのは、

「セパレーションが作れず、開きが早くなる」
「ボールが高めに抜ける」

という悩みを抱えた投手への実際の指導内容です。


選手本人が感じていた課題

選手自身は、

  • セパレーションが作れない
  • 身体が開いてしまう
  • ボールが高めに抜ける
  • 力んで腕だけで投げてしまう

という感覚を持っていました。

野球ではよく聞く悩みですが、この段階では「何が原因でそうなっているのか」はまだ分かっていません。


「開く」は原因ではなく結果

実際に動作を確認すると、

問題は骨盤の回転でも腕の振りでもありませんでした。

原因は、胸郭の回転機能が十分に使えていないことです。

胸郭が捻れできないため、

  • セパレーションが作れない
  • 身体が早く開いて見える
  • ボールが高めに抜ける
  • 腕で調整する投球になる

という状態になっていました。

つまり、「開く」ことが原因ではなく、胸郭が回転できない結果として起きていた現象だったのです。


今回のアプローチ

今回の指導では、フォームを修正することは行いませんでした。

まず取り組んだのは、胸郭が正しく動く身体を作ることです。

① セパレーションを理解する

「セパレーション=上半身と下半身の分離」

という言葉だけでは改善につながりません。

どこで分離が起きるのか。

どの関節が動くことでセパレーションが生まれるのか。

まずは身体の構造から理解してもらいました。

② 胸郭の捻れを習得する

続いて、

  • 胸椎の回旋
  • 胸郭の捻転
  • 側屈

これらを組み合わせた胸郭の動きを練習しました。

肩や腕ではなく、肋骨そのものが動く感覚を身につけていきます。

③ 胸郭の入れ替え動作を練習する

胸を張ったまま投げるのではなく、

胸郭が左右に入れ替わりながら自然に回転し、胸が丸まる動きを繰り返し練習しました。

この動きが身につくことで、腕だけではなく体幹から回転を生み出せるようになります。

④ 投球動作へつなげる

最後に、

胸郭の回転を保ったまま、

  • 着地時の腕の位置
  • 回転のタイミング
  • リリースまでの流れ

を確認し、実際の投球へ落とし込みました。


動作改善で大切なのは「原因」を見つけること

「開く」
「突っ込む」
「ボールが抜ける」

これらはすべて結果です。

改善するためには、

なぜその動きになっているのか。

その原因を身体の機能まで掘り下げて考える必要があります。

フォームだけを修正しても、一時的に良くなることはあります。

しかし、身体の使い方が変わらなければ、時間が経つと元の動きへ戻ってしまいます。

だからこそBCSでは、

身体機能を改善し、その変化を競技動作へつなげることを大切にしています。